/ / / 鉱物幻想 #001 - トパーズ- / / /
われらが指針たる幻使者よ、
星図の欠片を散らした夜の硝子を越え、
黄玉の記憶をなぞりゆけ──
眼下には、夢の緯度に浮かぶ島トパジオス
地図にない反証のもと、
探求のみを運命づけられた古語一つ
その波濤の先に響きわたるのは
観念すら結晶と化す神秘の場所
黄金の雫が静かに凝り、
麗しくも隠微なる女神の妬みを受けたまま
都市の姿は金泥に濡れて立ちのぼる
黄昏の刻限にいま、言葉なき肯定を夢に刻もう
太陽の墜涙は雲間の理性によって照らされ、
すべての時計は濃密な琥珀へと溶けはじめる

- 物語のエレメント
古代には、黄色に光る石のすべてをトパーズと呼んでいたという。太陽の象徴とも称されるトパーズは、サンスクリット語からは「火:tapas」という意味を、ギリシャ語からは「探し求める:topazios」という意味を、その語の裡に宿している。
上のソネットでは、古代ギリシャの伝承に因み、太陽の光から生まれた石としての印象を落とし込んでいる。太陽神よりこぼれ落ちた涙は、黄昏時の光を受けて黄玉となり、地を固めた。そうして生まれた島はトパジオスと名づけられるだろう。アメシストを加熱することでシトリンが生まれる。その色あいはトパーズに似るものの、黄昏色としては少し深みが足りない。あまりに容易に量産されてしまうため、逆にトパーズの希少さ、高貴さがいっそう際立ってしまう。これをシトリンの女神による嫉妬に見立て、新たな物語として展開してみるのも一興かもしれない。

| 名称 | トパーズ(黄玉) |
| 由来 | ギリシャ語で「探究する」という意味の「topazios」 |
| 石言葉 | 誠実、希望、友情、成功、潔白 |
| 色 | 黄色、褐色、青色、オレンジ色、ピンク色、紫色、無色 |
| 産地 | ブラジル、メキシコ、アメリカ、ロシア、スリランカ、ナイジェリア、 パキスタン、ジンバブエ、オーストラリア、ミャンマー、ナミビア、中国、日本 |
| 成分 | Al2 [(F,OH)2 | SiO4] |
| 硬度 | 8 |
| 比重 | 3.56〜3.57 / 3.50〜3.54 |
| 屈折率 | 1.61〜1.62 / 1.63〜1.64 |
| 結晶系 | 直方晶系 |
| 特徴 | 11月の誕生石 OH成分が多いものはインペリアル・トパーズと呼ばれる |



